「Mozilla」は Webブラウザ機能やメール機能、Webページ作成機能などの幾つかの機能を含んだソフトウェアです。 RFC や W3C などの団体による標準技術に準拠し、そして移植性を持つように設計され多くのプラットフォームで動作します。 また、国際化という面も考慮されており多くの言語に対応しています。
「Mozilla」は幾つかの有名なオープンソース・ライセンスを適用したオープンソース・ソフトウェアとして開発され、そのソースコードを管理する団体「mozilla.org」によってソースコードが公開・配布されています。 公開されたコードは誰もがそのライセンスで認められた範囲において利用することが出来ます。
米ネットスケープ・コミュニケーションズ社(以下 Netscape社、あるいは単にNetscape)という会社はご存知ですか? Netscape社は、Netscape Navigator や Netscape Communicator という Web ブラウザやインターネットのサーバ製品などを開発し製品として販売していた会社です。 (Netscape社は米国1998年11月24日に America Online -AOL- 社に買収され現在はAOLの一部門となりましたが、文書中では Netscape社、あるいは単にNetscapeと表記します)
米国1998年1月23日、Netscape社は二つの発表を行いました。ひとつは「自社製品である Netscape Communicator を無償配布する」こと。 そしてもうひとつは「開発中である Netscape Communicator の最新バージョン "Netscape Communicator 5.0" のソースコードをオープンソースとして全世界に向けて公開し無償で利用可能とする」ことです。
衝撃ともいえる発表から2ヶ月ほど後の米国1998年3月31日、Netscape社は約束どおりに開発中である Netscape Communicator 5.0 のソースコードをインターネットを使い全世界に向けて公開しました。 また、それと同時にソースコードの管理と開発の支援を行う組織として mozilla.org を設立しました。
mozilla.org は開発体制の策定と運営,メーリングリストやニュースグループなどのコミュニケーションの場の提供,開発支援としてのWebベースツールの提供,そしてソースコードの維持とリリース作業などを行っています。 mozilla.org自身は Netscape社内の専任チームおよび外部の支援者により運営されます。 mozilla.orgとその開発コミュニティを総称して mozilla.org と呼ぶ事がありますが、正確には mozilla.org それ自体は開発エンジニアチームではありません。
そして、その mozilla.org が公開するWebブラウザ、それが Mozilla です。
Netscape社はソースコードを公開しましたが、そのソースコードを破棄した訳でもなく、また開発から撤退した訳でもありません。 Netscape社はオープンソースの世界に向けてソースコードを公開して、自らもその世界においてオープンソース・コミュニティの一員として開発作業を行います。 そして、mozilla.orgが公開するソースコードを活用する企業のひとつとなります。
詳しくは 「第19章 比較的に一般的な考慮事項」-「mozilla.org は Netscape ではありません(Netscape は mozilla.org ではありません)」をごらんください。
前述した通り、Mozilla はオープンソースです。
2002年9月29日現在では Mozilla を mozilla public licenses(MPL) か netscape public licenses(NPL) に定められた範囲において、誰もが自由に使用する事ができます。
MPLは Open Source Initiative(OSI) によりオープンソースライセンスであると認められているライセンスです。
また、mozilla.org は Mozillaのライセンスを MPL/GPL/LGPL のトリプルライセンスに変更する作業を進めています。 その作業はかなり進んでいますが、一部のコードについてはライセンス変更が完了していないため全体をひとまとめに GPL あるいは LGPL で扱うことはできません。
作業が完了した暁には、mozilla.org が公開するソースコードを MPL/GPL/LGPL のいずれかから選択したライセンスの元に利用することができるようになります。
最新の情報は mozilla.org のライセンスページを参照してください。
Mozilla はその性格上、欠陥が無い事や仕様の通りに動作するかどうか、またユーザの目的通りに動作するかどうかは一切保証されません。 Mozilla の使用の可否は、使用を検討するユーザ自身の責任において確認して決定してください。
詳しくは 「第18章 比較的に一般的な考慮事項」-「Mozilla には保証がありません」をごらんください。
Mozilla はオープンソースとして全世界に向けて公開されています。 オープンソースライセンスが宣言している通り、誰もが自由に使用することができます。 しかし、mozilla.org が現時点で想定する主な対象は開発者です。 (開発を行う者、テストを行う者、評価を行う者などを含めた広義の意味での「開発者」です。そしてこのことは開発者以外の利用を禁ずるものではない点に注意してください。)
Mozilla にはエンドユーザ向けのサポートサービスやエンジニア向けのテクニカルサービスは公式なものがありません。 現在の mozilla.org にはその準備がありません。
詳しくは 「第18章 比較的に一般的な考慮事項」-「Mozilla にはサポートサービスがありません」をごらんください。
mozilla.orgとその協力者達は 1998年に Netscape社が公開した Netscape Communicator 5.0 となる予定であった開発中のソースコードを元に Mozillaブラウザを開発してきました。 しかし、半年ほど経過した 1998年10月末に mozilla.org はひとつの決定を行います。
その決定とは、mozilla.org は、バージョン 5.0に基づいた古いフロントエンドコードおよび古いレイアウトエンジンで構成される Mozilla を破棄し、その Mozilla と並行して開発が進められていた次期 Mozilla向けレイアウトエンジン NGLayout を採用したまったく新しい Webブラウザの開発に着手することです。
そして、新しいレイアウトエンジン NGLayout に基づく Webブラウザの開発プロジェクト「Seamonkey」がスタートしました。
以後、開発は継続され 2002年6月5日に Seamonkey プロジェクトと Mail, Composer, Security など数多くのプロジェクトの成果の集大成である Mozilla 1.0 が正式に公開されました。
なお、NGLayout は一般には Gecko という名で知られています。 1998年頃には Raptor と呼ばれていましたが、NGLayout に名前が改められました。 Netscape が Gecko と呼ぶ場合、それは mozilla.org の幾つかのプロジェクトの成果, レイアウトエンジン NGLayout とクロスプラットフォームツールキット XPFE をあわせたものです(と書かれた文書が mozilla.org にありますが、NGLayout はプロジェクト名でありレイアウトエンジンは Gecko だとする文書もあります。 現在のレイアウトエンジンプロジェクトの Webページでは、単に Mozilla Layout Engine と表記されています。 難しいですね。)
Mozilla という名前は、それが用いられる文脈や呼称の対象によって意味が異なります。
Mozilla という名前の由来を辿るには、Microsoft の Internet Explorer や Netscape Communications 社の Netscape Navigator/Netscape Communicator がまだ登場していない、グラフィカルな Webブラウザ自体がようやく幾つか開発されて利用が始まった頃までさかのぼらなければなりません。
1993年初旬、アメリカのイリノイ大学の NCSA(National Center for Super Computiong Applications)というところで UNIX の X 環境で動作する Mosaic と呼ばれるブラウザが産声を上げました。
当時の Webで扱われていたデータの殆どはテキストであり、当時のブラウザもテキストによるハイパーテキスト処理が主だった機能というシンプルなものでしたが、Mosaic を手がけていた Marc Andreessen はイメージを扱うためのタグ IMG を実装した Mosaic を公開しました。
イメージに対応した Mosaic はすぐに普及し、UNIX の X 環境のほかに Microsoft Windows や Macintosh などにも移植された結果、Webブラウザといえば Mosaic を指し、Mosaic の名前は Webブラウザの代名詞のように使われることもありました。
その頃、Webの技術で商売を始めようとしたふたつの会社が登場します。 ひとつは NCSA から Mosaic の取り扱いの許可を得た Spyglass社、そしてもうひとつは Mosaic の開発者の一人である Marc Andreessen と SGI(Silicon Graphics, Inc)の創業者である Jim Clark の二人が設立した Mosaic Communications 社(後の Netscape Communications 社)です。
Mosaic Communications 社は Mosaic に対抗すべく新しいブラウザの開発に着手します。 それは Mosaic を打ち負かすものである事が望まれました。 そのための名前として、日本の特撮作品として有名なあの Godzilla が選ばれ、Mosaic を倒す Godzilla → Mosaic Godzilla → Mozilla という名前がここに産まれたのです。 (あの Jamie Zawinski -- netscape, mozilla.org, emacs, xemacs, java... -- による命名だと言われています)
エンジニア達は当初は社名と製品名に Mozilla を使うことを考えていましたが、Jim Clark はビジネスに向かないとの考えから反対しました。 (その話を耳にした Jim Clark は絶句したとも言われています) そして Network + Landscape/Seascape を組み合わせて Netscape という名前を作り、 社名と製品名に使いました。
しかし、エンジニア達の Mosaic を打ち負かすという思いは Netscape Navigator/Netscape Communicator の社内開発コード・ネームとして生き続けました。
この頃の Mozilla という名前は、特定のバージョンの製品を指すのではなく一連の Netscapeブラウザの総称として使われていました。
その後、Netscape社のマスコットとして恐竜に似た緑色の生物がデザインされ、その名前としても使われるようになりました。
その後、1998年3月に Netscape社がソースコードを公開しましたが、そのソースコードから生み出される Webブラウザとして Mozilla という名前が継承されました。 そして、ソースコードを管理する団体の名前として mozilla.org が命名されました。
現在では、Webブラウザに対するMozilla という名前は Netscape および mozilla.org に由来する Webブラウザの総称、あるいは mozilla.org が公開する Webブラウザの総称として使われます。 しかし、多くの場合は mozilla.org が公開している Mozilla Seamonkeyプロジェクトの Mozilla Seamonkey ブラウザを指して Mozilla と呼んでいます。 (なお、1998年10月に破棄された 5.0バージョンに由来する開発中のコードは、Mozilla Classic と命名されました)
一般的な通称として Mozilla Seamonkey ブラウザを Mozilla と呼ぶことには問題はありません。 しかし、特定のバージョンを意識する場面においては Mozilla Seamonkey というように、より詳細な名称やバージョン番号などを用いる必要があるかもしれません。
当文書中では特に必要がない限りは Mozilla Seamonkey ブラウザを単に Mozilla と表記します。
ちなみにmozilla.org サイトに居る赤いティラノサウルスによく似た生き物も Mozilla だと思われますが、その位置付けや Netscape社のマスコットである緑Mozilla との関係を著者は知りません。
Netscape社はオープンソース・コミュニティの一員として mozilla.org の活動に参加し、その成果を利用した最初の製品を2000年11月15日にリリースしました。 それが Netscape 6 です。
Netscape 6 は2000年11月上旬時点(M17-M18)の Mozilla Seamonkeyをベースとし、幾つかの追加機能とプラグインなどのサードパーティ製品を独自に追加し、Netscape社のリリースエンジニアリング・チームによりエンドユーザ向け出荷用に調整したものです。
Netscape 6 リリース後も Netscape は mozilla.org においてオープンソース・スタイルによる開発を継続しています。 これまでに Netscape 6 の幾つかのバグを修正した Netscape 6.0.1、Mozilla 0.9.2をベースとした Netscape 6.1、Mozilla 0.9.4をベースとした Netscape 6.2/6.2.1/6.2.2/6.2.3 がリリースされました。 更に 2002年5月22日には Mozilla 1.0 RC2 をベースとした Netscape 7 Preview Release 1 が、そして 2002年8月29日に 1.0.1 RC1-RC2 をベースとした Netscape 7 が正式に公開されました。
Netscape 6/7 と Mozilla は見た目や機能,構造や保存データ形式などは Mozilla と殆ど同じです。
Mozillaでは Webページへのアクセス、メールの送受信やニュースグループの購読、インターネットチャットなどといったネットワーク・コミュニケーションへアクセスすることができます。 また、簡単な Webページの作成機能も含まれています。

Mozilla Navigator は Mozilla の中核をなす Webブラウズ機能です。
一般に良く知られている他のWebブラウザと同様の機能をはじめ、タブブラウザ機能、Sidebar、Bookmarks、HTMLフォームの入力を支援する Form Manager やクッキーを管理する Cookie Manager などの便利な機能を持ちます。
W3C やその他の団体が策定した HTML, CSS, XMLなどの規格をサポートします。 例えば HTML 4.01, XHTML 1.0/1.1, CSS 1/2/3の一部, DOM 1/2/3の一部, XML 1.0, XSLT, MathML, RDF... SVG や SOAP, P3P, XML namespace, XML Base, XLink, XPath に関する作業も行われています。 GIF, JPEG, PNG, MNG, Bitmap などの一般的な画像フォーマットをサポートしています。 JavaScript (ECMAScript) が動作します。
Sun の Java Plugin を導入することにより Java Applet が動作し、Macromedia の Flash や Adobe の Acrobat、Apple の QuickTime などのいくつかのプラグインも動作します。 (但し、動作状況やインストール方法はプラットフォームにより異なります)

Mozilla Mail & Newsgroups は Mozilla の電子メール機能です。ニュースグループと言われる掲示板に似たインターネットのコミュニケーションシステムにアクセスすることもできます。
複数のメールアカウント(POP/IMAP)に対応しています。

Address Book は、仕事仲間や友達などメールを頻繁に送信する相手のメールアドレスを保存しておくことができます。
メールアドレスには名前や住所、電話番号などの情報を併せて登録することができます。
LDAPディレクトリに対応しています。

ChatZilla! はインターネットリレーチャット(IRC)に対応したチャット機能です。
日本語によるチャットも可能です。

Mozilla Composer は Web ページを作成することができる HTMLエディタです。
ワープロソフトを使うようにWebページを作成することができます。
複数の表示モードを持っていますので、Webブラウザで見たイメージで、あるいは HTMLソースコードを直接見て編集することもできます。
Webコンテンツの作者や Webベースアプリケーションの開発者向けの機能として、JavaScript Console , JavaScript Debugger , DOM Inspector があります。

Mozilla Profile Manager はプロファイル管理機能です。
Mozillaは、Mozilla の設定やブックマーク、メールやアドレス帳をプロファイルという単位でセットにして扱います。
自宅と会社でブックマークやメール、設定を個別に扱いたい場合にはそれぞれのためのプロファイルを作成することで解決します。
mozilla.org は Mozilla 1.0 のリリースに先駆けて、最終調整を目的とした Mozilla 1.0 RC1 というバージョンのビルドを公開しました。
この 1.0 RC1 バージョンと一つ前のバージョン 0.9.9 の Windows向けインストーラ形式には実行環境に影響を与える重大な問題があります。 この二つのいずれかをお使いになるならば ZIPファイル形式をお選びください。 このバグは 1.0 RC2 では修正済みです。
2002年5月10日に 1.0 RC2 が公開されました。 これは RC1 で見つかった問題の修正が行われたものです。
RC1 以前の複数のバージョンの Mozilla にセキュリティの問題が確認されましたのでユーザには 1.0 RC2 以降への移行が推奨されます。
2002年5月23日に 1.0 RC3 が公開されました。これは 1.0 RC2 で見つかった問題の修正が行われたものです。
米国時間 2002年6月5日(日本時間 2002年6月6日)に Mozilla 1.0(日本語) が正式に公開されました!! スタートページ(日本語) や Mozilla 1.0 ガイド(日本語) が新しく作成されています。
米国時間 2002年6月11日(日本時間 2002年6月12日)に Mozilla 1.1 Alpha(日本語) が公開されました。
米国時間 2002年7月22日に Mozilla 1.1 Beta(日本語) が公開されました。 これは 1.0 に含まれるバグを修正した 1.0 の最新版(1.0.1)ではありません。 1.0 の次のバージョンである 1.1 へ向かう途中の早期公開バージョンであり、テストを行っているものです。 あなたが安定した動作を得たいのであれば 1.0 を使うべきです。
米国時間 2002年7月24日には、Mozillaのバージョン 0.9.2〜 1.0, 1.1 Alphaの各バージョンにおいて任意のドメインの cookie を参照することができてしまう脆弱性が公表されました。 該当するバージョンの Mozilla を利用している場合は、メニューから [Edit] → [Preferences] → [Advanced] → [Script & Windows] の [Allow webpages to:]-[Read cookies] チェックを外して JavaScript から cookie を参照できないように設定するか、あるいは [Enable JavaScript for:]-[Navigator] チェックを外して JavaScript そのものを無効にしてください。 あるいは JavaScript の動作許可/動作禁止を Webサイト単位に指定する機能を使い、信頼できるサイトでのみ JavaScript を許可するという方法もあります。 関連情報は BugTraq 284012, Bug 159152, Bug 152725 です。 この脆弱性の問題は 1.1 Beta と 2002/07/23 の nightly build(trunk, 1.0系)で修正済みです。
2002年8月4日に、Mozillaのバージョン 1.0, 1.1 Alpha の各バージョンの FTP 表示画面の処理 にクロスサイトスクリプティングによる脆弱性があることが公表されました。 この脆弱性から発生する問題は設定変更で回避できるものではありません。 関連情報は BugTraq 285945, Mozilla FTP View Cross-Site Scripting Vulnerability, moz-users:04931, 04932, 04933 です。 この脆弱性の問題は 1.1 Beta と最新の nightly build(trunk, 1.0系)で修正済みです。
2002年8月27日に Mozilla 1.1(日本語) が公開されました。 1.0.x系 Branch からは 1.0.1 RC1, 1.0.1 RC2 が既にリリースされています。
2002年8月29日に Mozilla 1.0.1 RC1-2 をベースとした Netscape 7 が公開されました。
Mozilla 1.1, Mozilla 1.0.1 RC2, Netscape 7 それぞれで既知のセキュリティに関する脆弱性の問題は解決されています。 ユーザはそれらのバージョンへ移行することをお薦めします。
2002年9月10日に Mozilla 1.0.1(日本語) が公開されました。 これは 1.0 のバグ修正版であり、1.0.x系 Branchからの最新リリースとなります。 Mozilal 1.0 から数多くのセキュリティ上の問題(和訳)が修正されていますので、1.0 をお使いの人は 1.0.1 へのアップデートをお薦めします。
2002年9月11日に Mozilla 1.2 Alpha(日本語) が公開されました。 先進の機能を試してみたい人は、こちらもお試しください。
公開されている Mozilla のソースコードと、そのソースコードを元に作成された実行ファイル群(通常、単に「バイナリ」と呼ぶこともあります。 インストーラキットや圧縮ファイル形式などの配布形態があります)は、そのソースコードの扱いや位置付け,作成のされかたにより幾つかの呼び方で区別されます。
mozilla.org は Mozilla のソースコードを自動でビルドするシステムを持っています。
mozilla.org はそのシステムを使って Mozilla のビルドを毎日繰り返し、Mozilla の開発やテストを行っている人向けに常に新しいテスト可能なビルドを公開しています。 これが Nightly Build(ナイトリービルド)です。
Nightly Build はまさに最新のソースコードに基づいているため、公開された日によっては前日のものとは性能や品質が大きく異なる場合があります。 劇的に良くなる事もあれば、逆に悪くなったりすることもたまにあります。 ソースコードに対して行われる変更は開発者の手元である程度のテストが行われていますが、多くの場合は Mozillaの膨大な機能すべてをあらゆるプラットフォームにおいて確認するほどのものではありません。 また、膨大な作業が平行して行われているためにごくまれに起動すらしない問題や、データ損失などの極めて影響の大きい問題を含むことがあります。
開発者やレビューワの手元で行われる作業よりも詳しいテストは、Nightly Build を手にした者の作業です。 Mozilla は開発やテストのために公開されているものであることを忘れてはいけません。 利用には注意と時間と努力が必要です。 そのような準備がないままに手にするものではありません。
毎日公開される Nightly Build とは別に、一ヶ月あるいは二ヶ月ほどの間隔で公開される Milestone Build(マイルストーンビルド)というものがあります。 これは日々の作業の進み具合を見るためのチェックポイントとして位置付けられ、バグの修正や機能の改善などの作業のそれぞれに目標として設定されます。 よって、毎日激しく変化する Nightly Build ではなくこの Milestone Build を見ることにより、Mozilla の開発の進み具合を知ることができます。
Mileston Build は最新のソースコードからリリース用のソースコードをブランチ(枝分かれ)させ、そのリリース用のソースコードに対して更にバグの修正を行い、調整したのちにビルドして公開します。 そのため、殆どの場合 Milestone Build は Nightly Build よりも安定して動作します。
これまでの Milestone の流れは mozilla.org の Roadmap をご覧ください。
ソフトウェアのソースコードの取り扱いにおけるひとつの方法として、ソースコードを枝分かれさせるという手法があります。 これは例えば「バージョン 1.0 を公開した後にバージョン 2.0 に向けた開発を始めるが、それと平行してバージョン 1.0 の維持作業も行い 1.0.1 や 1.0.2 をリリースしたい」というような場合に用いられます。 この例では、1.0 をリリースした後に 1.0 の後継バージョンとしての 1.0.x のためにソースコードを枝分かれさせ、大元のソースコードは 1.1, 1.2, ... 2.0 などの将来バージョンに向けて作業を行うという形になります。
mozilla.org でも Mozilla に対して同様の手法を用いています。 Mozilla の Milestone Build のリリース作業に着手する際に、Milestone 用に大元のソースコードから枝分かれさせて リリースに向けた作業に注力します。 枝分かれした後は相互に影響を与えませんので、他の開発者は大元のソースコードを使って開発を継続することができます。
大元のソースコードを Trunk(トランク:幹)と呼ます。 Trunk は最も先行する、開発本流のソースコードです。 特別なバージョン番号は与えられず単に Trunk と呼びますが、便宜上のバージョン番号として次に予定されているリリースビルドのバージョン番号が与えられています。
Trunk コードは、常に Nightly Build が作成され続けられています。 Trunk コードには Milestone Build はありません。 常に Nightly Build です。
大元のソースコードから枝分かれしたソースコードを Branch(ブランチ:枝)と呼びます。 Branch は主に Milestone Build リリースのために作成され、その Milestone バージョン番号などを併せて 0.9.8 Branch, 0.9.9 Branch, 1.0 Branch と区別して呼びます。
Branch Build は、必要な時に Nightly Build として作成されます。
Turnk と 1.0 Branch の 2 系統が存在します。
Trunk は 1.1, 1.2 ... 2.0 などの将来のバージョンに向けて、新しい機能や構造を追加したり、既存部分の改善が行われます。 1.0 で見送られた開発途中の機能に対する作業も行われます。 場合によっては問題の根本的解決の為に大きな変更が行われることもあり、そのために Trunk は一時的に不安定になることもあります。 また、必要ならば XUL や Embed API などの仕様変更を伴う作業も行われる可能性があります。
一方の 1.0 Branch は、1.0 以降に見つかったバグの修正やパフォーマンス改善を行います。 1.0 Branch は安定性を重視するために新しい機能や構造の追加は基本的に行われませんが、重要なものや変更が小さなものは例外的に追加される可能性はあります。 XUL や Embed API などの仕様を固定していますので、それらを利用しようとする開発者にとって利用しやすいものとなるでしょう。
1.0 Branch からは 1.0 系の最新版である 1.0.1 が 2002年9月10日にリリースされました。 Trunk からは 1.2 Alpha が 2002年9月11日にリリースされました。
最も動作が安定していると考えられるものは、1.0 Branch から作成された Milestone Build のうち新しいものです。 つまり、現時点ならば 1.0.1 です。 1.1, 1.2a も多くの機能は十分に安定していますが、いくつかの機能は実用に差し支えがあるといえる程度の問題を抱えています。

Mozilla におけるバージョン番号に相当する情報はふたつあります。
ひとつは Milestone Build に名づけられたマイルストーン番号あるいはバージョン番号です。 例えば mozilla.org が 2002年3月11日にリリースしたものは 0.9.9 であり、2002年4月18日にリリースしたものは 1.0 RC1, 2002年5月10日にリリースしたものは 1.0 RC2 です。 2002年6月6日にリリースされたものは 1.0 で、2002年6月16日には 1.1 Alpha(1.1a) がリリースされました。 ずっと以前には Milestone 13(M13) や M18 という表記もありました。
もうひとつは Build ID と呼ばれる 8 桁あるいは 10 桁の数字です。 これは mozilla.org が公開しているバイナリに設定されている数字で、ビルドされた年月日と時刻を表します。 例えば 2002041711 であれば 2002年4月17日11時にビルドされたバイナリという事になります。 Build ID はソースコードの日付ではなくビルドした日付である点に注意してください。 同じソースコードからビルドされたバイナリでも、そのタイミングによっては Build ID が異なる場合があります。
Build ID はメニューから [Help] → [About Mozilla] と操作すると表示されるウィンドウに Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 5.0; en-US; rv:1.0.1) Gecko/20020826 のような表記で表示されます。
(末尾にある 20020826 が Build ID です)
また、メジャーマイルストーン以外のビルドでは Mozilla ウィンドウのタイトルバーに も表示されます。
Mozilla のバージョンを特定する場合、バージョン番号ではなく Build ID を使うほうがより正確です。 更に、Build IDの書式に Trunk/Milestone の違いはありませんので、Build ID だけでなく Trunk/Branch のどちらなのか、更に Branch であれば何の Branch なのかという複数の情報を組み合わせる必要があります。 そしてバグのテストを行うためには、その情報が必要です。
そして日々 Build されつづける Mozilla は、場合によっては朝と夜の Build が大きく異なることがあります。 そのような場合には Build された時刻が重要になりますので、メニューの [Help] → [About Mozilla] から参照できる年月日だけの 8 桁のBuild IDではなく 10 桁のBuild ID を参照してください。 あるいはダウンロードしたファイルが置いてあった URL を覚えていてください。 幾つかの例外を除き URLが特定できればビルドも特定できます。
前述したように Mozilla のビルドは毎日繰り返され自動的に公開されています。 その公開されたビルドを区別するのには 10桁の Build ID, Trunk/Branchのどちらなのか、更に Branch であれば何の Branch なのかという情報を組み合わせる必要があります。
Mozilla のバージョン情報は、そのビルドの仕組みや Trunk/Branch の方法論が組み合わさった結果、やや複雑になっています。 いくつかの例にあげ、バージョン情報を得る方法を整理します。
| 例 | Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 5.0; en-US; rv:1.0rc3) Gecko/20020523 |
|---|---|
| 説明 |
|
| 例 | http://ftp.mozilla.org/pub/mozilla/nightly/2002-05-11-04-trunk/ |
|---|---|
| 説明 |
|
| 例 | http://ftp.mozilla.org/pub/mozilla/nightly/2002-05-16-08-1.0.0/ |
| 説明 |
|
| 例 | http://ftp.mozilla.org/pub/mozilla/nightly/latest/ |
| 説明 |
|
| 例 | http://ftp.mozilla.org/pub/mozilla/nightly/latest-1.0.0/ |
| 説明 |
|
| 例 | http://ftp.mozilla.org/pub/mozilla/releases/mozilla1.0rc3/ |
| 説明 |
|
上記の文中で説明していますが [Help] → [About Mozilla] のバージョン情報や User Agent String からだけではそれが正式にリリースされた Milestone Build なのか nightly Build なのかは全く判らない点に注意してください。
あるビルドが正式な Milestone Build であるかどうかを判断する根拠は「ftp.mozilla.org/pub/mozilla/releasesディレクトリで公開されているものである事」あるいは「リリース情報ページ(http://www.mozilla.org/releases/)にてマイルストーンリリースであると紹介されている事」の2点です。
厳密には ftp.mozilla.org/pub/mozilla/nightly/ 以下に公開されている中のある時点のものが Milestone Build として採用されますので ftp.mozilla.org/pub/mozilla/nightly/ 以下にも Milestone Build があるという事もできますが、それは「Milestone buildと同じものが置いてある」と考えるべきでしょう。 たとえ内容が全く同じであったとしても、releasesディレクトリに公開されたもののみを Milestone Build と考えるべきでしょう。
無論、ミラーサイトなどへコピーされた releasesディレクトリや、releasesディレクトリからダウンロードして CD-ROMなどで再配布するものも Milestone Build です。